いじめに関する水戸地裁の判決

 当職が受任した水戸地裁の判決
 読売新聞、2010.8.6の記事を紹介
 到底、この判決には納得できない。



 暴行でけが 同級生らに責任
 地裁判決 水戸市への責任 棄却

水戸市の市立中学校で2006年、同級生のいじめによる暴行で左精巣の機能を失うけがを負ったとして、当時中学生だった少年(16)が、暴行したとされる同級生4人やその保護者、学校を管理する市を相手取り、計約3990万の損害賠償を求めた訴訟の判決が5日、水戸地裁であった。 
窪木稔裁判長は同級生2人と一部の保護者に対し、けがを負わせた責任を認め、計約713万円を支払うよう命じた。

 一方で、「集団的にいじめをしていたと認めるに足りる証拠はない」とし、学校側の責任については、「教諭の安全配慮義務が生じるのは、事故が発生する危険性を具体的に予見することができる場合に限られる。教諭は暴行を予見できず、過失は認められない」などと、市への請求は棄却した。

 判決を受け、少年の母親(50)は、「教室で起きたことなのに、学校の安全配慮義務が考慮されていないのは納得いかない。控訴する」とし、原告側の弁護士は「裁判官はいじめられる生徒の立場で判決を考えるべきだ」と批判した。
 
水戸市教委は「市教委としては現時点でいじめだったと認識しているが、いじめのとらえ方は広く、司法判断ではいじめではなかったということなのだろう。判決を真摯に受け止めたい」としている。

 判決によると、少年は06年7月、教室でぞうきんがけをしていると、同級生に後ろから羽交い締めにされ、別の同級生に股間をデッキブラシの柄で数回突かれ、後日、医師から「精巣の外傷がひどく、左精巣の機能回復は見込めない」と診断された。