矢沢宰とふるさと(1)

  北国からの雪の便りに俄に思い出して、
  本箱からしばらく読まなかった本を取り出した。

 『光る砂漠』− 第一に死が −

 この著者、矢沢宰は、私の親戚の一人。
 宰の家族も知っていた。
 おじいさんも懐かしい。
 やさしくて、気の利く人であった。
 お母さんも頭脳明晰。
 いつも、自宅の下の畑にいたような記憶がある。
 
 宰は、私より2才上、弟の元範は二つ下だ。

 しかし、私には、宰と遊んだ記憶がほとんど無い。
 雪の中で、痩せこけた宰の姿があるだけ。
 
 今、フト、何か問いかけているような気がしたのだ
       
                     続