親子を分断する入管の人権感覚

 わが国では、北朝鮮による拉致問題、中国のチベット政策、ミャンマーの軍事政権などが人権の問題として取りざたされることが多い。
 
 しかし、日本は、人権後進国であることが自覚されていない。
 2008年10月28日と29日に開催された国連自由権規約委員会による日本国に対する所見は、まさしくそれらを総括するものに他ならない。強い勧告やフォローアップを見てもらいたい。

 今日は、入国管理局による家族生活の分断も辞さない、顧慮するには及ばないとする事例を2題。
 
 第1は、蕨市の比国人一家の在留許可問題。東京入管は家族全員の在留を許可せず、長女ののり子さんだけを許可した。どうして、13歳の子供だけで滞在できるというのだろうか。「娘のために、残りたい」。家族一緒の滞在と生活を無視する。
 これが、わが国の入管当局や法務省の人権感覚ということである。

 第2は、中国人夫婦と未成年子のケース。特別在留許可不許可処分請求事件。舌を噛みそうな事件の名前であるが、これも日本上陸の約8年後に在留資格を偽って上陸許可を受けていたことが判明した事件。
 大阪高裁は、未成年の子についてのみ特別に許可すべき事情があるとして在留を認めた(大阪高裁平成20年5月28日判決)。
 
 皆さんは、この判決を、どのように評価するでしょうか。
 裁判所、裁判官の人権感覚は、このようなものなのです。