「姨捨」を読む

 1月17日、高田馬場駅BIG BOXの古本市
 井上靖の短編集『姨捨』(昭和31年)などを購入。
 久しぶりに、井上靖の書物に目をとおした。

 「姨捨(をばすて)」は、木下恵介監督の映画でも知られていたが、棄老伝説にかかるこの短編を読むのは初めて。長野県千曲市に「姨捨」という地があるような。篠ノ井線姨捨駅も。
http://www.mtlabs.co.jp/shinshu/hike/obasute.htm

 母との追憶も、妹との細やかな感情表現には、シルクロード敦煌を表現した井上とは、別のパトスに心が和んだ。
 是非、この地にある長楽寺からの月と紅葉を楽しみたい。
 
 「我こころなぐさみかねつ さらしなや
   姨捨山にてる月を見て」(大和物語)
   http://orange.zero.jp/teru.oak/gakusyu/yamato/obasute/index.html

 
 伝説である「姨捨」が、現在は、社会保障の切り捨てで半ば社会で公然化している。電気を止められ、ロウソクの火で自宅が炎上し焼死した老女の報道がなされたが、山に母を背負う気持ちを為政者は理解できないのであろうか。