カムイ伝に再会

 田中優子著『カムイ伝講義』に触れ、白土三平の『カムイ伝』(小学館)21巻に再会した。格差社会が問題視されている今、私は、江戸時代の支配と裁判と刑罰の世界に注視して、読み続けた。
 容赦のない苛斂誅求に耐える百姓、怒りの一揆で立ち上がる百姓
 これらの人々の血と汗と涙が我々の今を築いたことにあつく感謝。
 しかし、拷問による責苦、獄門晒し首など、命を軽視することは
武士がつくり、伝えてきた。
 わが国の刑事手続における人権の軽視や死刑制度の確固たるルールと伝統は、遺憾ながら確かなものとして受け継がれている。