鶴ヶ島・夫殺害容疑

 過日、鶴ヶ島市で71歳の妻が夫殺害容疑で逮捕された、との報道がなされた。介護していた夫を絞殺したというのだ。
 妻は、糖尿病や肺気腫を患っていた夫の介護で睡眠もとれなかったという。
 私は、11月に『殺人罪に問われた医師』(現代人文社)を公にした。
 そこでは、確かに終末期医療にたずさわる医師を取り上げた。
 しかし、このような殺人罪という処遇が肯定されるならば、このような治療は、病院や医師から家庭に移ることになり潜在化することを当然懸念した(「最高裁判所に求められること」(同書177頁))。
 保健医療制度の改悪が進み、家庭内医療が綻び、その限界は、必然的にこうした事態に帰着する。この事態は政治が作り出したものと言わざるを得ない。働いて社会や国家に貢献してきた者が裏切られて、追いつめられていることを注視しなければならない。