6月19日の朝日新聞に新美南吉の、ごんぎつねの作品のコメントが載っていた。童話作家にしては、悲惨な作品としか、感じられてならない、と私は思っていた。
銃口から細く出る硝煙を連想すると戦争話としか映らないのである。
しかし、私には、別の感慨もある。昭和16年に刊行された
『手毬と鉢の子−良寛物語』(学習社刊)である
良寛の少年時代からのお話しである。読んだり聞いたりした事柄であるが、新美のお話もよいと思った。
29才の若さで早世した(1942年)、新美。
『手毬と鉢の子−良寛物語』は、死の直前に書かれたもの。
戦後まで生きていたら、もっと明るい作品が多々生まれたであろう。