矢沢宰とふるさと(3)

 宰の詩に

     風 が
   
   あなたのふるさとの風が
   橋にこしかけて
   あなたのくる日を待っている


  



  いま、宰が少年期に過ごした橋を考えてみた。
  幾つかの橋が考えられる。
  
  まず、家から、宮の原に行く途中にある小さな橋
  農業用水のための川に架かっていた
  コンクリートで10メートルくらいの長さ。
  橋を渡ると田んぼだ。
  おにやんまが飛んできたような気がする。
  ススキもたっぷり
  川には、渡り蟹など遊ぶための魚に
  事欠かった。
 
  
  次は、杉沢の手前にある、100メートルの橋
  暴れん坊の刈谷田川に架かる橋、
  確か、木造でいつも流されていた。  
  上流の栃尾で、繊維産業が支配する前は、
  鮭も遡上していたきれいな川に架かる橋であった。 
  宰のよく行った橋はここかもしれない
  
  さらに,小学校に行く途中にあった稚児清水川
  30メートルくらいの幅の木橋
  水量が少ないが、格好の遊びができる川
  小魚が沢山いた
  洪水の度に流されている記憶がある。

  宰の通っていた橋は、
  どれかか分からない、
  これらのすべてかもしれない

  しかし、8才のときに腎結核の発症に気付いたのだから
  橋が実家の近くの橋ではないかもしれない。
  

  母親思いの宰のことだから、
  家から500メートルくらいの位置にある
  小さな橋に腰かけてで、母レウを待っていた
  のではないのかな。



                        続く