JR東労組の記事を巡り、「週刊現代」側に、550万円賠償命令


JR東労組の記事を巡り、「週刊現代」側に、550万円賠償命令
 
 2006年10月19日提訴の損害賠償請求事件
 原告:松嵜明
 被告:(株)講談社西岡研介
 原告代理人、前田知克(団長)、後藤昌次郎、矢澤磤治、矢可部一甫、渡辺千古
 東京地裁民事13部合議B係 山田俊雄裁判長、上沸大作、川崎博司
 
 2009年10月26日、2006年7月から2007年1月までの24週間にわたり、『週刊現代』の記事、「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」という通しのタイトルの連載記事で、名誉を傷つけられたとして、東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)の元委員長松嵜明氏が、出版元の(株)講談社などに、1億1000万円の損害賠償請求と謝罪広告の掲出を求めていた訴訟で、東京地裁民事13部は、原告側の請求の一部550万円の支払いを命ずる判決を言い渡した。

 裁判所が、原告の社会的評価を低下されるとした記事の内容とは、
  1)原告が革マル派の幹部であり、非合法な手法を厭わない活動をする最高幹部であるとの印象を与えること
  2)JR八高線で発生した置き石事件について、原告がこの事件の発生に関与した可能性があるとの印象を与えること
  3)原告が、JR山手線を止めることができ、革マル派系の活動家の存在を利用して、JR東日本を支配してきたかの不当な印象を与えること
  4)原告が、悪質な列車妨害に関与した可能性があるとの印象を与えること
  5)革マル派幹部である原告が、JR東日本の最大・主要労組であるJR東労組が提示運転を妨害しており、その妨害に原告の影響が及んでいる可能性があるとの印象を与えること
  6)原告が、JR東労組の組合費の横領という犯罪行為を犯しているという印象を与えること
  7)原告が、JR東労組及びJR総連を私物化しているとの印象を与えること、
 というものである。

 しかし、本判決は、被告西岡研介が警察官(警察庁幹部A、警視庁幹部B)から入手した捜査資料などに基づき、「原告が組合費を横領したとの事実、原告が錬金術により資産を生んだとの事実などなどの事実を、いずれも真実であると信じたことについては、相当な理由がある」と判断したことには、根本的な誤りがあるといわなければならない。

 また、本判決は、松嵜氏の名誉回復のために、謝罪広告を許容しなかった。

 24週間に及ぶ長期間の名誉毀損の持続は、単なる金銭賠償で解消されるとは到底思われない。

(株)講談社は、控訴の方針をコメントしたが、かかる内容の記事を公にするメデアの根本的な姿勢が問われるべきである。
 
 本件裁判については、2009年10月27日、朝日新聞朝刊が掲載した。

 また、NHKが法廷を撮影していた。
http://www.jr-souren.com/