麻生鉱業と朝鮮人強制連行


西成田豊氏の論考を読んで
(『世界』2009年3月号)

今時、「強行連行否定論」が公然と、総理大臣の教育係から語られているこの唖然としていたが、西成田氏の指摘は正鵠を得たものであり、歴史的な事実を踏まえていると確信する。

 かって、林えいだい『強制連行、強制労働』(1981年)を読んだときの、麻生商店における争議や麻生赤坂炭坑キン玉事件が脳裏をかすめた。

 麻生鉱業による被連行朝鮮人に対する苛酷かつ残虐な対応は否定する余地のないはずがない。史実を歪めるにとどまらずこれを否定するとは。これが、(株)麻生の顧問であり、麻生首相の側近の言明だと云うことは、驚愕するに等しい。
 
 官房副長官に抜擢された漆間厳に係る「ある警察官僚の軌跡」の論攷では、「北朝鮮への圧力」と記されているが、麻生商店の末裔が恐れているのは、朝鮮半島の人々と民族の全体ではないのか。